読了本・コミックス

ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)

ZOOKEEPER(1) (イブニングKC)

イブニングで連載中。動物園にまつわるあれこれを描いた職業ものだが、単なる仕事紹介に終わらず動物を飼育することの喜びと暗黒面を描き分けてちゃんと物語として読ませるところがいい。新米飼育係のヒロイン楠野香也には温度変化を肉眼で見分けられるという特殊能力がある。それは話に深く影響を及ぼすのだけど決して万能ではなく、めでたしめでたしで終わらないことがほとんどだったりする。だが読後感は必ずしも悪くない。あと絵がなんだかとても綺麗だなあと思う。ほどよく端正な感じで好ましい。イリエワニ編は園川さんのプロとしてのかっこよさに痺れた。

Dear Monkey 西遊記(3) (シリウスKC)

Dear Monkey 西遊記(3) (シリウスKC)

期待を裏切らないダークさ加減。ゴクウは悪役・孫悟空の毛から作られた分身なので本体が消えれば消滅してしまう。だからテンテンを殺せとの命令には逆らえない。テンテンにとっても仇敵である。であるのだが……ベタだけどやっぱこうでなくっちゃな。でも問題は先送りされただけ。取経の旅はまだまだ続く。どうすんのかなーと思いつつも、発明工房編は面白かった。泣けた。

拝み屋横丁顛末記 (7) (ZERO-SUM COMICS)

拝み屋横丁顛末記 (7) (ZERO-SUM COMICS)

相変わらず爺の魅力満載の第七巻、ますます際だつ面白さには感嘆するほかない。カラーとかはぜんぜん違うんだけど「うる星やつら」的なシチュエーションギャグの面白さを久しぶりに堪能した感じ。くだらねーと思いつつも冬の神様編は秀逸だし、平井ちゃん恋の自覚編は思わず手に汗握った。通販のときは買いそびれたが、一枚目がオンラインショップで売ってるんならやっぱドラマCD買おうかなあ。

下宿が舞台の人情コメディ。系統的に似ている「拝み屋横町」に比べるとすごい適当に描いてる感じがするのだが、それでも面白いんだもんな。まあザッパーなところも高野宮子の魅力のひとつなのだろう。人物の描き分けがたまに厳しかったり、美形とフツーの人の区別がつかないことがままあるけど。モデルの雅の話が特によかった。マニア鈴木がいつも変なTシャツ着てるところはツボにはまった。

天の鳥花の夢 (フラワーコミックス)

天の鳥花の夢 (フラワーコミックス)

サスペンスタッチの幻想譚。幼いときに知らずに奪ってしまった天界の「花」。それはまゆ子の心身から汚れを遠ざけた。汚れを知らぬまゆ子は不完全だ。人として生きるには本来ケガレは避けられないのだが、汚れることは果たして悪いことなのか……。恋する相手に命を狙われるというのはある意味ロマンですね。究極のせつなさだからだろうか。少女マンガにはこういうテーマの作品が散見されるように思う。

荒削りななかにも妙に魅力を感じる――新人賞を獲るような作品というのはそういうものだろうが、カバー絵も担当しているトビナトウヤのはなかなか拾いものだった。カラーよりペンで描いた絵がいい。話もテンポが良くて面白い。潔癖性の少年の淡い恋を描いたラブコメで、あんまり少女マンガっぽくないけどニュートラルな作風が好きな人なら読んで損はないと思う。今後が楽しみである。デビュー希望。あとの作品はまあ普通かな。