読了本
- 作者: 雪乃紗衣,由羅カイリ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/09/30
- メディア: 文庫
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頑張りは必ずしも実を結ばない。政治の世界では力なきものは消される。そういう酷薄な現実に秀麗が直面する、まさに刃のごとき展開には額に冷や汗が浮かんだ。今までが恵まれすぎていたともいえる秀麗の周辺が変わっていく。味方のフリした敵がうようよいて、誰もが仮面をかぶって素顔を見せない貴族社会。そこに分け入っていくのだと秀麗が自覚し始めたぶん、茶州編以上にスリリングになりそうな今後の展開には期待大。“あの人たち”の想像以上の変わり身ぶりは凄まじかった……二人とも近いうちに再登場するのかな。どうでもいいけど国民証の「これは余が念写したのだ。」は何度みても笑いがこみ上げてくる。劉輝はすっかりボケキャラが定着したなあ。
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/21
- メディア: 単行本
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うーん。こういう奇抜なネタをミステリとして扱うなら長くて中編までかなあと思う。描きこむほど現実味がなくなりそう。どぎつい方向にいかず叙情的に終わるのはいかにも有栖川さんらしいが、宗教がらみでも金がらみでもない集まりの実態というのがどうにもぼやけた印象。女性キャラの見分けもつきにくかった。いっそのことSFミステリにするか、要所要所を引き締めて展開を早くしたらもっと面白くなったかもしれない。……冒頭で少々がっかりしたのが後をひいたのか、妙に辛口の感想になってしまった。