姉を失い、友人を失い……バレーには嫌な思い出がありすぎる。けれど離れることもできず、本気を出さないようにしながら部活を続けていた少女・大石練の青春放浪記。バレーの試合や練習そのものよりもキャ
ラクターの心の動きに重点が置かれているせいか、物語がすごく濃密で読み応えがあった。中学生の間は矯められていた、かつて“狂犬”とあだ名されたほどのパワーは新天地で炸裂するのか。幼なじみのミチルやマンガ大好き小
田切さんの思いは練にどう作用するのか。続きがとても気になる。
息をするよりも自然に嘘をつくひとみ先生が人々を混乱に陥れるシュールなショートギャグ群(※
壷井栄の名作とは一切関係ございません)。面白い、というか脳みそをかき回されるような感覚がかなりヤバい。例えるなら読む「めまい遊び」、もう中毒になりそう。読んだものがすぐ夢に出てくる私はさっそくひとみ先生と延々問答し続ける夢を見てうなされた。騙された人々がつっこみを入れる絵に毎回ひと工夫あるのも楽しい。帯の惹句「2007年ハリウッド映画化決定!(嘘)」には笑った。そうだろうともよ!