風魔の巨人・風間小太郎が戦国時代を縦横無尽に駆け抜ける爽快時代小説。山風・司馬遼・
金庸の美味しいとこ取りといった感じでかなり面白い。忍びというとニ
ヒルで影のある雰囲気を想像するけれど、小太郎は天衣無縫で心優しく、風神の申し子のような強さなのだ。
古河公方氏姫や
曽呂利新左衛門などの個性的な味方を持つ一方で、
服部半蔵や唐沢玄蕃といった魅力的な悪役を数多く敵とするため、小太郎の周りに争いが絶えることはない。おりしも太閤秀吉の後釜をめぐる天下取りの駆け引きは激しさを増しており、影の暗闘も血みどろの様相を帯びているのだが、そこへ巻き込まれていく小太郎の運命やいかに。この物語での家康はとにかく喰えないじじいだが、柳生又右衛門の登場で不隠さがいや増した。ああ、下巻が楽しみだけど読むのが怖い……。小太郎を慕う女忍び笹箒の思いがついに通じた場面にはつい貰い泣きしたが、そういえば前に伊賀者の女を私的な理由で殺してなかったかー？
