読了本・雑誌

モーニング増刊・モーニング2 vol.01
http://e-morning.jp/information/morning2.html

いろいろと意外な作家を揃えてるのに驚きつつ購入。他社で活躍中の実力派、それも女性作家を目玉に、恋愛色なし・萌えもエロもなし、へんにエグくもこじゃれてもなし、っていうのは今までちょっとなかった。読み切り中心なのもいい。実験的な試みなのかもしれないが、個人的にとても好みに合ったので季刊くらいでずっと出し続けてくれると嬉しい。第2号はクリスマス頃発売予定だそうだ。
オノナツメ「Danza」に『リストランテ・パラディーゾ』のジジの逸話を思い出す。だが彼の過去話ってわけではないらしい。親父がワイン持って出てくるあたりとか、しみじみいいなあ。でも何故か既視感をおぼえるのだ、似たようなオチの話を以前どこかで読んだ気がして……それでも楽しめたことに変わりはないが。
杉本亜未ファンタジウム」は今号でいちばんよかった。マジックが題材なのが目新しく、絵柄と話運びの綺麗さ、丁寧さに魅了された。天才の孤独はこの人が好んで描くテーマだが、血を吐くような渾身の作『独裁者グラナダ』よりも幾分トーンが柔らかく、よりエンターテイメント性が増しているぶん読みやすかった。続き描いてくれるといいな。アフタヌーンに来てくれないだろうか。
雪児「チャイ・スー」第二話はキックボクシングに打ち込む少年が主人公。地味めでオーソドックスな格闘ものだが、とても面白かった。主人公のひたむきさが胸に残る。格闘ものやスポーツものを好まない読者にもじっくり読ませる力があるのはすごい。ウェブで読める第一話も胸にじんときた。
小山宙哉「ブラウンライフ」もよかったし、中村光聖☆おにいさん」にも笑った。安宅十也「×天」もけっこう読ませる。あとは可もなく不可もなくといったところで、山下和美はまあ普通だし、石黒正数「気の抜けたビールで…」のシュールさは好きな人は好きなんだろうけど私には分からなかった。加藤伸吉やまだないとはもっと分からなかった。城戸みつるはもういい……。