読了本

魔物の闇 (オオトリ国記伝 1)

魔物の闇 (オオトリ国記伝 1)

戦国時代の日本をモデルにした歴史ファンタジー、三部作の第一巻。最初は架空日本の描写にちょっと抵抗があったものの、すぐにストーリーの面白さに引き込まれて気にならなくなった。特異な能力に恵まれながらも数奇な運命に翻弄される若者の波乱万丈の物語。続きが待ち遠しいが、どうぞ悲劇的すぎる展開にはなりませんように……。ただでさえタケオは<隠者>育ちの優しさと<部族>ゆずりの冷酷さとの迫間で苦しんでいるのに。カエデもめそめそ泣いてるだけの姫じゃないところがいい。
やや硬質で切れのよい翻訳の文章も好みだが、不満をいえばやっぱりオオトリやシラカワといった固有名詞には翻訳の際にふさわしい漢字をあてたほうが自然だったと思う(カタカナ表記は作者の意向でもあったらしい)。リアン・ハーンという筆名はこのシリーズのみに使用しており、ジリアン・ルビンシュタインの名で他にも児童書を多く出しているそうだ。ハーンは小泉八雲にちなんだのだろうか。ていうか女の人なんだ! てっきり男性作家だと思ってた。
http://www.theotori.com/bookthree/default.asp
http://www.gillianrubinstein.com/