不思議なものが見える少女を中心に物語は進んでいく。なるほどちぃちゃんはいわゆるゲンダイシャカイのひずみが生みだした寂しいコドモなのだろう。だが世間的には恵まれてない可哀想な状況は当人にとって必ずしもそうではないのだと提示し、またいかにも寂しいコドモが作り出しそうな見えない友達たちを真っ向から肯定することができるジャンルは、やはりファンタ
ジーをおいて他にはないのだとあらためて思った。図書館が第一話にしてなくなってしまったことだけがちょっと残念。
完結。千鶴が誰を、何を選ぶのかということが注目点のひとつではあったのだけれど、それより若葉の行動のほうが衝撃的だった。……いや、そういう展開は予想しないでもなかったが、さらにその上をいったというか。現代まで話が繋がるとは思っていなかったし。実際、明治大正時代の話を読んでいるつもりだったのに、いつのまにか太平洋戦争にまで話が届き現代とも地続きであったことにこそ驚かされたのだ。……話は変わるが日本の妖怪って海を越えられるのかな。なんとなく、地続きでないとダメなような気がしていた。
シリーズの意味あるのかな？ というくらい他のSTAYシリーズとは趣が異なる（それを言ったら共通項などあってなきがごとしだが）。田舎の中学校を舞台に繰り広げられる多種多様なドラマ。幼なじみの淡い恋、年上の女性への背伸びした恋、過去にとらわれ続ける女の恋。個人的に印象深かったのは三番目の恋だなあ。表ヒロインが愛なら裏ヒロインは洋子（超かわいい……）とみせかけて千江子だろう。ビジュアルはすんごい地味でテキトーだけど。ある意味いちばん読者に近い、可愛くもなくて痛いキャラというか……。
