読了本

浮かれ黄蝶―御宿かわせみ

浮かれ黄蝶―御宿かわせみ

「『かわせみ』のこうした情景が、麻太郎は胸が熱くなるほど好ましかった」――というのは表題作のなかの一文だが、このシリーズのファンにとっても同感だろうと思う。このままずっと“江戸”が続いてほしくもあるが、明治編に突入するのも間近らしいと聞く。すでに子どもたちは英語に親しんで芝居までやってみせるほどだし、幕府は軍艦を大阪へと回してるし……東吾はどうなってしまうのか。「捨てられた娘」で見せた花世の推理は末頼もしかった。用心棒よりも探偵に向いていそうだ。

催馬楽 (東洋文庫)

催馬楽 (東洋文庫)

筆者による訳がかなり若者風のくだけた感じになっているせいもあるが、催馬楽って今でいったらラップ・ミュージックみたいなものだったのかなと想像した。ノリのよさ、言葉の繰り返し、ほのかな異国の香り。両者はなんだかとても似ている。今は意味不明になっている「さきむだちや」や「らいしなや」はもしかしたら「チェケラッチョ」とか「インザハウス」とかに相当するのかもしれない。