舞台は龍の一族が統べる砂漠のオアシス、水を操り龍に変化する少女シャクヤが主人公の
異世界ファンタ
ジー。行方不明だったルシンと現在恋する相手のクワン、二人のいいなずけの間で揺れ動く少女の心を丁寧に描いているが、あっさりさっぱりした作風なのがいい感じに作用してガーリーすぎない爽やかな少女まんがに仕上がっている。「婚約者がふたりいる状況」と「それぞれの相手への恋心に呼応して育つ両腕の刺青」にヒロインが振り回されず、ちゃんと向かい合っているのが気持ちいい。
前の巻を読んでからずいぶん間があいたので展開をちょっと忘れてしまった。でもめでたく再開できたマチカとレインが可愛かったからいいか……なんだかそれだけですごく嬉しくなってしまったので。お弁当箱のフタを開けるマチカとエビフライに喜ぶレインが可愛すぎる。しかしなあ、ユカは何をしたいんだよっ。お前のもんじゃないんだから勝手に消そうとすんな。言っちゃ悪いが自分の不幸に酔ってるみたいでいつまでたっても好きになれないキャラではある。
これまでの作品とはずいぶん趣が違うけれど、前から描きたいと思っていた題材なのだそうだ。好きでこういう世界を描ける人(しかも少女漫画家で)って貴重なので、この路線をガンガン突き進んでほしいなと個人的には思う。表題作は架空の中華戦国歴史だが、中
国史のわりとコアなファンらしいから次は史実に基づいた話を読んでみたい。
コミック三国志マガジンで描いてくんないかなー、最近あの雑誌コンテンツが枯渇ぎみなので……。