壮大な歴史幻想譚(実はものすごく壮大な物語だったのだ、と最後の最後で気づいた)。
鎌倉幕府の第三代将軍である
源実朝と、平家とともに壇ノ浦に沈んだ
安徳帝の死の真相が語られる第一部は全体を通してしめやかでもの哀しい雰囲気。
金槐和歌集の実朝の歌ってとても素直で分かりやすいのに、誰にも真似できない個性と静かな迫力があるなあ。続く第二部ではクビライ・カーンに仕える
マルコ・ポーロが不思議の国
ジパングの謎に迫るうち、
南宋最後の皇帝の最期と関わりあうのだが……。冒頭で言及される小林の大臣と太宰の僧正については巻末を読んで初めて何のことか分かった。そっちも読んでみたい。