読了本

彩雲国物語―花は紫宮に咲く (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語―花は紫宮に咲く (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語の第3巻。ストーリーはかなり大きく動き出す。官吏になりたいという夢を持つ少女が、後宮に入ってダメ新王の教育係になる程度なら一過性の非日常的ドタバタコメディでも済むだろう。だが実際に夢に向かって着実に歩き出す姿を描こうとすれば生半可でない構想と展望が必要だと思う。そういう設定をいちばんシビアにシニカルに見据えているのは秀麗とおなじ年代の少女読者だろうから。軽快なギャグを交えながら、確かなリアリティで希望を感じさせてくれる作者の筆には脱帽である。