読了本

彩雲国物語―黄金の約束 (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語―黄金の約束 (角川ビーンズ文庫)

十二国記のフォロワーかな?と今まであまり気に留めてなかったのだが、なかなかどうして面白いではないですか。おむらさん薦めてくれて感謝です! 文章も悪くないしキャラは魅力的だし、展開が早くて読後感が爽やか。由羅カイリのイラストもいい。あちらが北京で食べる満漢全席ならこちらは香港で食べる飲茶といった感じで、気軽に味わえてしかも美味しく、新作がどんどん出る(……)のが嬉しい。巻数表示があると分かりやすいんだけどね。
とにかくシリアスとコメディのバランスが絶妙だ。長い貧乏生活で身に付いた秀麗の金銭感覚と、世間知らずな新王劉輝の抜け作っぷりには何度も笑わせられた。ほろっと泣かされる場面も数知れずだが、真面目な語りが説教臭くないのはいい。恋愛色が薄くて人間関係がどろどろしてないところも好感が持てる。ラストで未来をちらっと匂わすのがまたニクイ。「軍に藍茈あり、文に李紅あり」には来た来たーっ!と背筋がぞくぞくしてしまった。
先にアニメのほうを観ているので、人物のセリフがもれなく声優さんの声で脳内再生されるのがかなり楽しい。しかしアニメ版は原作の魅力を活かさず殺さずだねえ。文章で読んでも違和感ないシーンなのに、映像になると不自然で思わず笑ってしまうことが結構あったりする。確かに原作とアニメでは狙いがすこしずれているのかもしれないな、アニメ版はなんであんなにほもちっくなかほりがするのかしらん……。