読了本

機械じかけの神々〈上〉 (富士見ファンタジア文庫)

機械じかけの神々〈上〉 (富士見ファンタジア文庫)

機械じかけの神々〈下〉 (富士見ファンタジア文庫)

機械じかけの神々〈下〉 (富士見ファンタジア文庫)

魔術の代わりに<技巧>が普及している西洋中世を舞台にした異世界ファンタジー。忌むべき精霊の姿に苦しみながらも、旅の間に出会ったさまざまな人との絆を育てていく少年スノウ。旅の果てに彼が見つけ出したものは……。大事にとっておいた(積ん読ともいうが)五代ゆうの既刊を読んでいくことにする。五代さんには一目おいてるのに未読の本がけっこう多かったりするので。それにしても作者がこれを書いた頃は学生だったというのは驚きだ。端正な文章と堅実な構成力には目を瞠るばかり。
後書きに「あそこも書きたかった、ここも書きたかった」とあるのはやっぱり本音なんだろか。細部を心ゆくまでふくらませ厚みを持たせたら、どんなに読み応えのある本になったことか。図書館長も皇帝もせっかくだからガンガン描き込んだらよかったのに。クーブラ・カーンの記憶やエピローグの淡々とした描写も、もうちょっと色をつけて物語に組み込んでいってほしかったかも。いちばん気に入っているのはドン・ミケロット。全編に渡って登場してるだけあって複雑で奥行きのあるキャラになってると思う。