読了本

ページをめくれば (奇想コレクション)

ページをめくれば (奇想コレクション)

奇想コレクション〉の未刊行分も残りわずかになってきた。これは《ピープル》シリーズで有名なヘンダースンの本邦初訳を含む短編集。私にとっても初めて読むヘンダースンの作品である。常に教職にあった女性の作品らしくほとんどの話が子どもを題材にするが、とりわけユーモラスな「いちばん近い学校」も含めどこか切なくほろ苦い味わいを後に残す。夢と希望に満ちあふれるどころかシビアな現実と真摯に向かい合わねばならない職業についた作者の人生観が反映されているのだろうか。「おいで、ワゴン!」と「ページをめくれば」はクライマックスのあとの転調に胸を塞がれる心地がした。