読了本

図書館戦争

図書館戦争

読んでるだけでアドレナリンが放出される近未来活劇。『シャングリ・ラ』がSFならこれもそうか。最初は図書館が武装しほとんど自衛隊化という奇天烈なシチュに馴染むのが難しかったが(心理的な抵抗がね)、郁の王子様の思い出には胸が熱くなった。「日野の悪夢」にいたっては涙なくしては読めず……でもせめて防衛員側は火気に代わる武器を開発すればよいのにな、本は燃えやすいんだからさ。良化委員会との決着もつかないままなのでぜひ続編を出して欲しい。決着がつかなくてももうちょっと読みたい。「月9連ドラ風」がコンセプトだったらしいが、読んでてもそれはひしひしと感じた。郁と柴崎の会話のテンポをそのまま再現してくれるだけでも面白いドラマになる気がする。

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

ちょっと辛い点しかつけられない。途中まではともかくラストが締まらない印象。時子が火浦に出会ってからの出来事はイメージ先行で空疎だし(そういうシーンではあるんだが)、交互に語られる母娘の体験内容がダブっている冗長さにも特に仕掛けはないようだし、ラストの公園での会話は「だから何?」としか思えないし。小説として不完全な感じがするのは、これがシリーズの中の1冊だからなのだろうか。あと私は恩田陸に地獄のようなバッドエンディングを期待しているのかも。力技でこれでもかとねじ伏せて欲しいのかも。最近の作品はとくに日和ってるようで物足りません……。