読了本

エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラ (ちくま文庫)

「どいつもこいつも」で立花二曹が擬されていたエステーバンの元ネタ「この世でいちばん美しい水死人」はこの短編集に入っていると以前さき@如月さんに教えてもらった。そこだけ読んで放置してたのを、せっかくなので全編読んだ。「水死人」はひたすら大げさで笑える話だが、よく考えるとブラック。他の短編でも哀しく痛ましい出来事や不幸で悲慘な人生がごく当たり前のように語られる。湿っぽいとこがまったくない。なんでもアリの自然と過酷な歴史を受け入れてきた土地柄が動じない心と穏やかな諦めを育むのだろうか。

蟲師 オリジナル・サウンドトラック 蟲音 前

蟲師 オリジナル・サウンドトラック 蟲音 前

ヘビーローテーション中。姫神を連想させる雰囲気があるけれど、より素朴で優しい感じだ。背景に物語があるから1曲聴き終わるごとにしんみり。「露を吸う群れ」と「一夜橋」が特に気に入っている。前者はあの結末にこの曲という意外性がいいし、後者の哀しい旋律は耳に残る。「柔らかい角」は真火の呟きが耳によみがえってくるよう。「やまねむる」の背筋がそそけだつようなイントロも好き。「光酒」は「蟲の宴」というほうがピンとくるかな。ビシーッバシーッってSMみたいな音が入る「気配」にはついつい笑ってしまう。