読了本

凍りのくじら (講談社ノベルス)

凍りのくじら (講談社ノベルス)

のび太の海底鬼岩城」を映画館で観てバギーちゃんにボロ泣きしたのは中二の春。だんだんアニメも観なくなっていったけれど、今もあの感動は忘れていない。ちょっと前にドラえもんのトリビュート特集を組んだコミック雑誌があったが、長編小説だとこんなこともできるんだなあ、と素直に驚いた。装丁・挿画は美しいし、著者近影もおしゃれだし、何だか講談社ノベルスじゃないみたい。
ひどく覚めていて他人が馬鹿に見え、居場所がほしいのにどこにも見つけられないままの理帆子。ずるずる関わり続けている元カレの若尾も典型的なまでに痛い人間だが、彼女もなかなかのものである。そんな折に現れた不思議な青年、別所あきらは理帆子の人生を大きく変えることになるのだが……。ラストはやられた。みごとな着地。どうしよう、「ドラえもん」を全巻大人買いしたくなってしまった。「天の川鉄道の夜」読みたい。