読了本

ハルカ・エイティ

ハルカ・エイティ

齢八十一にして女の人生を謳歌するハルカさんの現在を描いていくのかと思いきや、物語はぐんと時代を遡り八十年の軌跡を辿りはじめる。戦前生まれの呑気な女の子が戦争中に慌しく花嫁となり、戦後は職業婦人として活躍しながらも夫の女遊びと自らの恋の炎に懊悩する……という、下手したら超ドロドロのメロドラマになってしまうとこを主人公の前向きな性格と軽やかな関西弁、そしてウエットにならない文体が救ってくれ、最後まで飽きさせない。しかし私が八十になったとしてもハルカの境地に到達することはとてもじゃないがなさそうだ。大介ひどすぎじゃないのか? なんでも悪いようにとる妹・時子にも引いたけれど、姫野さんは同性の人物造形がさすがに巧み。

グリフィンの年 (創元推理文庫)

グリフィンの年 (創元推理文庫)

『ダークホルムの闇の君』の続編で、魔術師大学に入学したグリフィン娘のエルダとワケありの学友たちが次々と引き起こすてんやわんやの大騒ぎが楽しい学園ものである。前に読んだときはエルダとフリューリィの組み合わせが可愛くて好きだったのだが、今はブレイドとクラウディアが気になってしかたがない。昔はクラウディアのイメージが佐竹さんのイラストに引きずられて「怪奇、へび女」だったもんで、いまひとつブレイドの抱く恋心がピンとこなかったのだ。あー、もっと続編があればいいのに。ブレイドはちゃんと彼女を口説けんのかな。気になるよ〜。