読了本・コミックス

蟲師 (7) アフタヌーンKC (404)

蟲師 (7) アフタヌーンKC (404)

ニュアンスのある表紙が相変わらず素敵だ。満開の桜と水の底が重なっている不思議な風景。ギンコの肩口に泳いでいるのはナマズか。暗めな話が続く七巻だが、事件が終わった後に“おまけ”的なエピローグがもう一幕あるのが何だか心やすらぐのである。 漆原さんのストーリー作りのクセなのかどうか分からないけれど、たとえば「花惑い」ではうってかわってのどかな花見の光景で幕引きだし、「雷の袂」ではどこへやったか知れなかったはずの臍の緒が手元にあったり。圧巻は「鏡が淵」のラストだ。すごく切ない……。どうでもいいけどギンコって女の子よりも蟲にずいぶん優しいな、というかやっぱりシンパシー感じてるんだろなあ。「棘のみち」は前後編にもかかわらず完結してない印象が濃く、シリーズ中でも特異な雰囲気の話。クマドが家業にこれほど身を捧げても、淡幽の代で決着が着くことはおそらくないのだろう。労力の割に報われない、そしてそのことを容認しているのが蟲師、という気がする。