読了本

ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)

ダークホルムの闇の君 (創元推理文庫)

テーマパーク化を不当に強制されたファンタジー世界がもしあったら……という物語。久しぶりに読み返した。うーん、満足満足。ジョーンズ作品の中ではいちばん好きで、何か手ごろで面白い読みものが欲しいな、というときにはこれに限るのである。果てしなく続くダーク一家の受難が気の毒でならずフラストレーションがたまるのだけれども、それが一気に解消されるときの爽快感といったらない。何気ない伏線があとから畳み掛けるように効いてくるのもしびれるし、グリフィンの兄弟姉妹はとても魅力的だ。思わずにやりと笑ってしまう名シーンも数え切れない。最高なのは“ガラドリエル”だが、悪霊退散!と追い払われるジョージ爺さん、奈落の底に自ら突き落とされる闇の君には何度読んでも忍び笑いが止まらなくなるのだった。