読了本

「絵を読む」をテーマにまとめられた第一部がとくに面白かった。図版がいっぱいで楽しい。漫然と眺めているだけでは気づかないけれど、訓練された目でくまなく見れば絵巻物に描かれた中世の人々の服装やしぐさからこんなにもたくさんの事柄が読み取れるのかと驚く。「扇の骨の間から見る」というしぐさに込められた意味を探っていく過程がスリリングだ。そういえば私も怖いものに出会ったときに手で顔を覆って指の隙間からのぞいたりするが、ふだん無意識にやってるしぐさにも歴史的な意味を見出すことができるのかもしれない。