読了本

宮廷女官 チャングムの誓い〈下〉

宮廷女官 チャングムの誓い〈下〉

ノベライズというのは往々にして小説の出来があまり良くなかったりするものだけれども、これはなかなかしっかりした作品に仕上がっており読み応えがある。文章も読みやすく、ときに格調高い。人生の機微をたくみに言い表した箇所に幾度となく目頭が熱くなった。これは訳者の功績でもあろう。シナリオ準拠とはいえ韓国での放送終了前に出たものなので、後半にいくほどドラマ版と展開が違ってくるし記述も簡素化する。なのでチャングムとチェ一族との深い因縁、そしてミン・ジョンホとの愛がどういう結末を迎えるのかはドラマを観てのお楽しみである。
途中チャングム茶母(女刑事)と一緒に女官の不審死を調べる場面があるが、ドラマ版には出てこなかったシーンだと思う。日本で「チェオクの剣」として放送された先行ドラマ「茶母」の世界が重なるようで面白かった(『チェオク』自体は、私はあんまり話に乗れず途中で視聴を脱落してしまったのだが)。ヨンセンの役どころはドラマとずいぶん違っているけれど、ミン尚宮はこちらでもとぼけた味が出てて笑えた。トックおじさんはノベライズ版ではあまり個性がない。やっぱりアドリブ連発な役者の演技がすごいんだろなー。