これを読んで
ガブリエル・バンサン『
テディ・ベアのおいしゃさん』
ISBN:4892388459。共通するのは、よるべのない健気なものたちへの優しい視線。捨てられた
テディ・ベアは老人に修理されて新たな子どもに出会い、お腹の破れた
カモミールは将軍に
タンポポの綿毛を詰めてもらって行進する。けれどひととき味わったさみしさや哀しい気持ちは、忘れたり追いやったりすることはできても決して消えることはない。そんな思いの行き場もきっと荒野の果ての“Heaven”。
アワモリ君のゆる〜い農大発酵ライフ。
もやしもんから菌たちを抜いて「
動物のお医者さん」に近くなったとこに初期の
ハチクロを足して2で割ったような感じ。宇仁田作品にしては恋愛色が薄いのが私には読みやすく、また面白かった。サエちゃんの作ってたミミズ
コンポストやってみたいなあ、木箱に入れて部屋のなかで飼うの。ネックは
アメリカミズアブなんだよねえ、ミミズは可愛いんだがミズアブはキモい。想像するだけで鳥肌が立ってしまうほど厭だ。
素手でざくざく選り分けられるサエちゃんを尊敬する。
強盗とか詐欺師とか痴漢とか
汚職政治家とかジェイソンとか、そういう悪いことするやつは
ネオ・ヴェネツィアにはいないのかなとつねづね思っていたわけだが。そりゃ悪のはびこる余地もないやね、
正真正銘の「守り神」がいるんだから。きっと悪いやつは人知れず消されちゃうので監獄なんか必要ないんだろう。警官すら見かけないもんな(いたっけ?)。あのお方はアクアの先住民か何かなんだろうか。不思議な存在のままで正体が明らかになることはないとは思うけど……。
半透明であることに迷いがなくなってきたしずか。いや、相変わらず悩みは尽きないし嫌なことも多々あるのだが、透明な体を持つ自分を受け入れて、生きていくことに前向きになってきたというか。若い子が将来に希望を見出せなくなるのほど不幸なことはない。だから不安に押しつぶされて消えそうだったしずかの心が揺らがなくなってきたのがなにより嬉しい。それにしても起きない息子に次々ちゅーしていく家族ってなんなんだ。あの場面笑いが止まらなかったよ。
なるしまゆりのマンガって濃厚なイメージがぶわーっと押し寄せてきて1冊読むのにすごく気力を使うんだけど、頭で理解しようとすると何だかよくわからなくなる。世界は独特の法則のもとに入り組んでいて、道標の見えない者には分け入っても分け入っても混沌のジャングルなのだ。そんなの私だけか。「考えるな、感じろ」ってことだろうか。とりあえず1巻から読み返さないと。夜長彦の言ってることが難しすぎて目が回る――。