短編集。史実寄りの歴史ものも悪くはないが、やはり市井もののほうが発想ののびやかさを味わえていいなと思う。表題作では男勝りの知佐が子どもに「おっかねえ話」をしてやる場面に吹きだした。「
あさきゆめみし」は江戸時代にもアイドルの追っかけがいたのかと可笑しかったし、お堅い商人と女力自慢芸人との恋を描いた「梅匂う」は微笑ましくて良い。大奥に奉公した時の思い出を語る「藤尾の局」も面白く、参考書目の『幕末明治 女百話』もあわせて読みたくなった。
祐巳の家族といい感じだし、
祐巳の気持ちも傾いてるし（何時の間にそんなに好きになっていたのよ？）でなしくずし的にスールになるのかと思われた、が。相手のガードの堅さとハリセンボンみたいにとげとげなのはいったいどうしたことか。
小公女セーラの芝居をしたときはちょっと唐突に思わなくもなかったけど、ラストでそう繋がるんならまあ仕方ないな、つか結構ショックだった……。次巻ではぜひ
瞳子視点の話を読みたいものだ。
