読了本

憑神

憑神

酔った勢いで祟り神の祠に手を合わせてしまったがため珍奇な境遇に陥った幕末の侍・彦四郎の物語。浅田さんもずいぶんコミカルな話を書くようになったものだ。「なむなむ」が口癖の小文吾や九頭竜関などのコメディキャラがてんこもり。もしやちょっとヤケになってる? ラストこそ浅田節全開だったけれど、家をもって家に仕えるというのが武士道であるならそりゃ廃れもするだろう、と正直思う。愚直なる幕末のドン・キホーテとなった彦四郎に感じたのはむしろ哀れみだった……彼にとっちゃ余計な御世話だろうけど。