読了本

髭麻呂 王朝捕物控え (集英社文庫)

髭麻呂 王朝捕物控え (集英社文庫)

“髭麻呂”は検非違使の看督長(かどのおさ)。実は気が弱くて怖がりやなのを隠すため、ヒゲぼうぼうの強面にとりつくろっている。都を騒がす神出鬼没の盗賊“蹴速丸”を追う役目もイヤでイヤで仕方がないのだが、何故だか縁があるようで事あるごとにすれちがっては捕り逃がすのだった……。花山院出家や安和の変などの史実をからめたユーモラスな連作短編ミステリー。どのキャラも味があるが、こまっしゃくれた従者の雀丸が特にいい。おとり捜査の回には気を揉まされ、香たがえの際のエセ呪文には笑わせられ。彼と髭麻呂との関係の変遷はなかなかの見ものだ。