読了本・コミックス

七つの海―岩泉舞短編集 (ジャンプコミックス)

七つの海―岩泉舞短編集 (ジャンプコミックス)

すごい、こんな古い本なのに書影が出る。これは私にとってすごく大事な作品集で、続きが出るのを楽しみに待っていたものなのだ。待ちくたびれて待ってることすら忘れていたが、昨日ふいに思い出した。そういえばネットで情報収集したことなかったなと思いつつググってみたら……なんだかちょっと悲しくなってきた。でも復刊ドットコムなどで応援してる人もたくさんいることだし、未収録作を含めた岩泉舞全集そして新作がいつか出ることを信じてひたすら待ちの日々に戻ることにしよう。
本棚から探し出してきて懐かしく読み返すうちに玩味熟読してしまった。やっぱ面白いわ。紙は黄ばんでるけど作品はぜんぜん色あせてない。初期の頃は絵柄も話の運びもかなり高橋留美子の影響が強く出ているのだが、それを補ってあまりある独創性と構成力の高さがほんとにもう……泣ける。「七つの海」くらいから鳥山明の影響も見て取れて、絵柄がけっこう変わっていく。「COM COP」ではもう別人のような絵柄になっているけど、瑞々しくて優しい読後感は変わらない。これがこの作者の強み。
表題作の「七つの海」が傑作と評判高いが私は「たとえ火の中…」が好きで好きで、何度読み返したか分からないくらい(でも今までころっと忘れていたわけだが)。鎌倉時代を舞台にしたかなり直球の感動作で、こういうのは時代物でしか書けないテーマなんだろうなと思う。ファンタジーでありつつ、まんが日本昔ばなしが持ってるのと同じリアリティがある。もーヒロインの命蓮という尼さんがめちゃめちゃ可愛くて。天然っぽい純真な女の子が常識派の男の子を振り回すという図がツボにはまるんだよなあ。