読了本

京極夏彦対談集 妖怪大談義

京極夏彦対談集 妖怪大談義

「妖怪」をキーワードに京極夏彦が15人の各界著名人と語り尽くす。京極さんはどちらかといえば一方的にしゃべり倒す方だというイメージがあったけれど、意外にホスト役がうまい。どんな難解な学術的話題だろうとB級なネタだろうと楽々ついていけるしなあ。唐沢なをきと妖怪図鑑について盛り上がっていたのは楽しそうだった。いちばんウケたのは水木さんコアラ疑惑だけど。八犬伝読本ほんとに出してくれないかしら、そしたら私もそれを頼みに岩波文庫をがんばって読むんだが。

蓮丈研究室に入った新たな助手、佐江由美子。その優秀なワトソンぶりにどんくさい三國はもういらないんじゃないか? とさえ思ってしまう。狐目の教務部主任の秘密も明らかになり、ますますボケ担当でしかなくなってしまったミクニが哀れ(でもないけど)。口絵にも驚かされた「棄神祭」が一番面白かった。表題作もよかったけど、タイトルでネタを割ってしまっているからな。キャッチーならいいってもんでもない。冬狐堂シリーズは未読なのだがこれだけ話がリンクしているとそっちも読みたくなってくる。

この軽み、イラストつけてライトノベルで出しても違和感なさそう。お克をめぐる文之介と勇七のケンカとか面白い場面も多いし。第一作目から引きずっていた謎のいくつかが解決、お知佳の件はちょっとあっけなく片付けすぎかなと残念だった。付き合いにくいところもあるけど結構いいやつじゃんと思っていた謎の浪人が最後に見せた狂気にびっくり。そんなオチありか……。御牧父子のパートと下手人のパートを交互に語っていくスタイルは以後も踏襲されるのかな?