読了本

「雪崩連太郎幻視行」というルポルタージュをトラベル・マガジン誌に連載しているライター・雪崩連太郎。ネタを求めて全国各地を旅すると、なぜか怪奇な事件に巻き込まれてしまう。彼は基本的に自ら滅びゆくものの最期を見届けるだけの人で、いたずらに真相を暴いたり犯人を糾弾したりはしない。そんな心のやさしさが哀しい運命を持った人々を引き寄せるのかもしれない。女性に対しては特にやさしいけど……据え膳喰わないで女に恥をかかせたりしないもんな。合理的に解釈のつく話とホラー色の強い話がある。なかでも「白蝋牡丹」や「花十字架」が幻想的で印象深かった。