読了本
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2005/02/26
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- 作者: 中島京子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/03/05
- メディア: 単行本
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冴えない中学教師・久保の実家に眠っていた古い文書は明治時代に活躍した人物の回想録だった。クラブ活動の研究史料にしようと喜び勇んで子孫の女性に連絡を取ったところ、事態は予想外の方向へ……。埋もれた過去が時を得て現代の人々を動かし結びつけていく不思議さに打たれて一気に読んだ。手記の続きを探す現代パートはコミカルなミステリ風、イトウこと伊藤亀吉が綴る過去のロマンスは切なくも愛しい。手記に登場するI・Bはイザベラ・バード、Dは高橋阿伝と思われるが最後まで実名は明かされない。あくまでもフィクションだということかもしれない。が、実在した彼女たちの背景も知っているとより物語の深みは増すと思う。といっても私には、先日読んだ東洋文庫『イザベラ・バード極東の旅』と杉浦日向子『ニッポニア・ニッポン』収録の「夢幻法師」で得たわずかな知識しかないのだけど。