読了本

IX(ノウェム) (電撃文庫)

IX(ノウェム) (電撃文庫)

『読むのが恐い!』の中で大森さんが“金庸トリビュート”と紹介していた作品。タイトルと表紙イラストからはちょっと想像もつかないが、中身は思いのほか本格派で第一章を過ぎた頃からどんどん面白くなり一気に読んだ。燕児と九郎が次第に心通わせていくあたりなどはなかなかいい感じ。女といえばおっかあな九郎が燕児の胸を触ろうとして怒られるシーンには思わず笑った。金庸レベルを期待してしまうと確かにあっさりめで物足りないのだけど、専門用語は当たり前のように出てくるし雰囲気も結構つかんでいるので武侠小説になじみのある人ほど入りやすいのではないだろうか。『読むのが恐い!』では北上さんも楽しんでいたようだし。惜しむらくは物語の序章だけで続きが出ていないことだ。これからが盛り上がるところなのに! 罪炎の身の上なんかかなり気になるよねえ……。全十巻は欲しい。技の名前もいいが謎の国“震”の設定を作りこんでもらいたいな。