ビーム最新号では本命
「エマ」よりも続きが気になってきた。「
放浪息子」は軽やかに重たいという不思議な作品だ。
志村貴子のふわっとしたタッチが話のエグさとあいまって情緒豊かなのにカラリとした雰囲気を醸し出す。個性的だがどこにでもいそうな子どもたちの普通っぽくて強烈な日常が淡々と描かれる。この人こんなに小中学生を描くのが巧かったっけと驚いてしまうほどなのだが、懐かしくは感じないのが不思議だ。『
敷居の住人』のときのような居たたまれなさもないし。あぁ私は二鳥くんや高槻さんのような健気なキャラに弱いのだなぁ……。しかしスカートめくりをするいじめっ子って今もまだ健在なんだろうか?
兄さん実はひとりでけっこう頑張ってたんだな。弟に正統後継者の座をとられてグレたんじゃなかったんだ。志々尾の過去と“夜行”に迎えられるまでの話はなかなか面白かった。“夜行”の面々はこれからもっと出てくるのかな? 妖獣使いのお姉さんとか。和気藹藹としたムードにみえたのに、現在の志々尾の回想ではなんだかギスギスしてて、彼もはみ出し者っぽい感じなのが気になる。
大阪版「
サザエさん」……はちょっと違うか。
大阪市内の大きな古屋敷に住むノンキでマイペースな方々の毎日をネイティブの視線でコミカルに描いている。関東モンの私が読んでもこんなに面白いんだから、関西の人ならもっと“ボテボテの
大阪弁”の妙なんかも楽しめるのだろうなあ。値切り倒しの名人オカンと資産家のボンで園芸マニアの大清水さんがヘンで好きだ。あちこち探してワイド版も9巻まで集めたがその先が手に入らない。文庫で復刊したものの3巻までで止まっちゃってるのはちょっとひどいんでないかいコーダンシャさん。