著者はじめてのエッセイ集。デビューまもない頃のからごく最近のまでを一挙にまとめてある。この人の文章はなんでこう読みやすいかな。また自分の好きなものについて書くのがとびきりうまいのだ(嫌いなものについて書くときは、ちょっと生々しいと思う)。彼女が挙げたなかでとくに読んでみたいのが
小林信彦の
オヨヨ大統領シリーズ(うお、絶版なのか……)、
石井好子のエッセイ「巴里の空の下オムレツのにおいは流れる」(よほどファンが多いのか去年レシピ版が出たらしい)、
新潮文庫の「フラン
チェスコの暗号」(バカっぽい学園ものとして興味あり)。あと
ミシェル・ペトルチアーニのジャズはぜひ聴いてみたいと思った。丹地陽子の装画もおもしろい。
おあずけをくらったような空虚な気持ちになってしまった。けっしてつまらなくはなかったのに。というのはやっぱり目下の関心事が
祐巳の妹選びだからなわけで。
瞳子色がじょじょに濃厚になってきてはいるものの色々とこじれ気味な部分もあるので、あっさり決まりすぎても文句は出るだろう。しかし今回名前を一度出したきりというのはあんまりではないかと。
黄薔薇・
白薔薇のあたりは普通に楽しめた、けどもうちょっとボリュームが欲しいところ。
紅薔薇はもともとウェットな関係ではあるのだが、いけずな上流階級のなんやかやが関わってくるとますます……。思わせぶりな柏木はなんとかならんもんか。