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ハツカネズミの時間(1) (アフタヌーンKC)

ハツカネズミの時間(1) (アフタヌーンKC)

優秀な頭脳を持つ子どもを集め、外界から隔離したうえで英才教育を施しているという私立・蒼峻学園。この胡散臭さぷんぷんの学園に閉じ込められて過ごすモルモットのように従順な生徒たちのなかにある日“反乱分子”が生まれる――そのきっかけとなったのが転校生の氷夏桐子だった。どんよりと重苦しくて閉塞感にあふれたストーリーが独特の秀麗な筆致で描かれてゆく。槙たちの失われた記憶、姿を見せない学園長、植物の名を持つ生徒たちの謎にぐいぐい惹きつけられる。とはいえ物語のスピードはたいへん遅いので、じりじりしながら続きを待っている次第。

少女漫画では非常に珍しいと思われる、たいへんふくよかなヒロイン・あきらが主役のラブストーリー。少年漫画で昔「Theかぼちゃワイン」とかあったなあ……ぜんぜん話のカラーは違うけど。表題作「百も承知さ」「踊りましょうか」がそれぞれ続きものとなっている。あきらは太っていることをまったく気にしていないし、人から好かれる気持ちのよい性格だ。実際はルックス気にして「私なんか」と萎縮する女の子のほうが多いだろうな……と思う私はどうしてもこの物語をファンタジーと受け取ってしまうのだが、うわべにとらわれすぎだよね。もっと自由でありたいけど。