読了本

予言の守護者 - ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

予言の守護者 - ベルガリアード物語〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

美麗なカバーイラストのついた新装版。神々が力の宝玉を奪い合い、ついに人間による代理戦争に発展するあたりは「シルマリルの物語」や「指輪物語」を連想させる。しかし涙あり笑いあり恋愛ありのエディングス節で彩られ肉付けされた豊かで自由奔放なドラマは、トールキンの模倣に終わらない面白さと躍動感に満ちている。生気あふれる登場人物も魅力的だ。とくにポルおばさん、ああいう親しみ深くも謎めいた女性キャラはよそでもちょっと見かけない。シルクことケルダー王子の秘めた恋心もぐっとくるし。気になったのが故意にせよ偶然にせよガリオンはよく盗み聞きをするなあ……ということ。物語の中心人物だがまだ蚊帳の外の少年視点で話が進む以上、ある程度は“覗き見”させるのも仕方ないのだろうか。早く一人前と認められて重要な会議にも参加できるようになればいいね。というわけで続きがたいへん楽しみなのだ。