読了本

東洋文庫ガイドブック

東洋文庫ガイドブック

 少数派の人々による「古典の宝庫」という評価とそれに見合った権高なラインナップ、奇特な本屋さんの奥深くの棚に潜むという棲息状況、「文庫」のくせに高定価という名称の語義矛盾、箱入り布クロス金箔押し角背のいかめしい外見、購読することはおろか、なまなかな読者は手にとってみることが、あるいは一生のうち一度でも目にすることすらむずかしい……、とまでささやかれてきた叢書・平凡社東洋文庫が、一九六三年の創刊以来、七〇〇巻を超えました。


という自虐ギャグ(?)で始まる「はじめに」に思わず笑ってしまう人は少なくないだろう。私も2年ほど前に「何か一冊読み通そう」と心に決めて以来、未だに実現させていない。このガイドブックも何度か手をつけては序文で挫折していたのだが、なぜか今回するすると読めてしまった。特に巻末の解説目録はタイトルを眺めているだけでも楽しく、読んでみたい本をメモするのに忙しかった。『京都守護職始末』『沖縄の犯科帳』『ハリス伝』『長崎日記・下田日記』『西遊草』『日本その日その日』『熱河日記』など……明治・幕末関係の史料には興味をそそられるし、旅行記、見聞記はどれも面白そうだ。手強い相手だがまた挑戦してみるかな。