新選組!

新選組 ! 完全版 第弐集 DVD-BOX
新選組 ! 完全版 第弐集 DVD-BOX」待望の飛脚が金曜日に到着。まずは特典映像を堪能させてもらった。未公開シーンは見ごたえたっぷりだし、三谷・服部対談は笑ったし、ノンクレジットオープニングは胸にこみ上げるものがあるし(曲も映像も本当にいい出来だ)。もうさー、ほんとに去年の大河はいい仕事してたよ! 最高だよ、ありがとう! と何度でも言いたい。
本編は「そして池田屋へ」から「寺田屋大騒動」まで観た。「友の死」ですでに寝なきゃいけない時間だったが、この2話は続けて観ないとダメだ、でなきゃ今夜は眠れないと思った(放送当時は悲劇から喜劇へのひっくり返りっぷりに目が点になり、先週あんなに泣いた自分が馬鹿みたいに思えたものだ)。息をするのも忘れて見入っているせいで胸が苦しく、加えて歳三と山南さんのあいだの軋轢が辛くて、のどの奥が痛くなってくる。なんでこんなふうになってしまったんだろうか、と百年以上たった今なお悔しくやりきれない気持ちになる。「史実だから」ではくくりきれないドラマがここにある。
本放送のときとは違う自分もここにいる。当時は山南を切腹に追い込んだ歳三が大ッ嫌いだったが(id:teatree:20040823)、あらためて観直すといかに歳三がテンパってたかが分かるのだ。憎々しげな物言いの裏に焦りが見える。不敵なまなざしの陰に不安がよぎる。だから思わず同情してしまう。グダ泣きにもらい泣きしてしまう。鴨暗殺のときは事態を陰で掌握していた歳三が、山南切腹のときにはもう制御しきれずイッパイイッパイ。いや、いみじくも山南さんが未公開シーンで言ったように、江戸を出るとき何かを忘れてきたが為の暴走は誰に止めようもなく、坂を転がるがごとく破滅への道を突き進むしかなかったのだろう……。
完全版は亀弥太がオイシイ。池田屋直前の未公開シーンが切られたのはもったいないなあ。本放送だけでも愛嬌たっぷりのいいキャラだったし、「ど〜いてですかぁ〜!」と長州藩邸の前でくずおれたあたりからはマジ泣きさせられたけれど、あの未公開シーンを観たあとでは龍馬の独白もぐぐっと重みが増すもの。伊東先生が悲鳴をあげて飛び起きるとこは何度見ても爆笑してしまう。ただ、あのシーンが放送されていたら三枚目になりすぎてちょっとバランスの悪いキャラになっちゃってたかもね。山南を悼んで一首詠むあたりで充分おまぬけ感が漂っていたし。今だからこそ「嬉しいオマケ」と思えるシーンであるかもしれない。