読了本

マンモスハンター (中) エイラ 地上の旅人(6) (エイラ 地上の旅人)
『マンモス・ハンター 中』ジーン・アウル作/白石朗訳(集英社、2005)。<エイラ 地上の旅人 6>。マムトイ族にとけこんでいくのとは反比例するようにジョンダラーからは隔てられていくエイラ。ジョンダラーはまったくもって思い込みの強い男で、それは氏族の生活習慣が骨身にしみこんでるエイラも同じなんだけれども、少なくとも他人の言葉をきく耳は持ってるわけで。アンタの決め付けや妄想が始まるたびにイライラさせられるこっちの身にもなってくれと思いつつも、本文中の「想像力が病んでいるジョンダラー」という表現にはついつい吹きだしてしまった。
旧訳では縁組の日のラネクとの閨事はばっさりカットされていたように記憶してるんだけど、新訳のそのシーンがあるとないとでは物語の深みがぜんぜん違ってくる。私は新訳の濃いセックスシーンは特にいらない派ではあるのだが、ジョンダラーのときとラネクのときとでは温度差にどれくらい違いがあるか、それが分かるとエイラの心の動きがスムーズに伝わって共感度もぐんとアップする。誤解をまねく行動はとっていても彼女なりに筋は通っているんだよねー。ラネクが一人で盛り上がってるのが哀れですらある。ジョンダラーは問題外。