読了本

ユージニア
『ユージニア』恩田陸角川書店、2005)。
凝った装丁と紙質のよさに陶然となる。すでに読んだ人から『Q&A』の進化形と聞いていたが、確かに手法としてもより洗練された感じがする。いかにも恩田陸らしい終わり方も気にならなかった。むしろふさわしいくらい、それほど青の部屋のイメージは強烈だった。「紅い花、白い花」での謎解きはちょっと強引かなと思いはするけれども。しかしなんだか頭がぐらぐらするような話だなあ。何が真実なのか考えるほどに分からなくなる。あとり硅子の短編に白いサルスベリの木の下でドッペルゲンガーを見るというのがあり、私にとって白いサルスベリはどこかこの世ならぬ雰囲気をまとった特別な木なのだが、そのイメージはこの本によっても強化されてしまった(あと最近では『家守綺譚』。……あれのサルスベリって白ではないんだったかな?)。