新選組!

DVD-BOX1、時間と体力の許す限り観続けてようやく第20回「鴨を酔わすな」まで。本放送で観ていたときは試衛館時代から芹沢暗殺までの長さがもどかしく、なかなか新選組が誕生しないのに痺れを切らして何話か気やすく観のがした。だが、あらためて観るとホント面白いなあ多摩編・鴨編は……! 待望の“多摩納豆談義”や“八木家大刀自の恋心”“新隊士河合採用”のシーン等には大笑い。明るさと笑いに満ちた場面として印象に残っていた“壬生大相撲”はまだ先のエピソードだけど、さかのぼって何度も観てしまった。ぼんぼん会津公のかわいいこと。
とても愉しい。しかし同時にひどく切なくもある。どんなに笑えるシーンであろうと後半の血なまぐさく悲しいドラマを思い出してしまうから。……思い出すように、繋がるように作ってあるのがニクいよなあ。「ヒュースケン逃げろ」は本放送時も割と好きな回だったが、今見ると最終回を思い出してじわっと泣けてくる。勇が刑場の露と消える直前の蛙と青空はいわずもがな。土方のやる気のない「オネガイシマース」やヒュースケンの「この国の土となれることを感謝する」も勇の最期の情景にオーバーラップする。「西へ!」でつねさんが勇の京都行きを見送るシーンが、刑場に引き出される勇を見送るシーンとそっくりなのもガツンと来た。
最初は苦手だった山本耕史の土方も今は生まれ変わりのようだとすら思って観ている。近藤が異をとなえようが我を通し、自分のいいように好きなように動かそうとする、こんな土方はイヤだ! と疎んじてさえいたのに。いやそうじゃない、この土方こそがあの近藤を活かしたのだ、そして彼もいっぱいいっぱいだったのだと受け入れるようになったのはいつからか。自分でも分からない。あのふてぶてしい鴨が桂さんにやりこめられてヨワヨワになって涙ぐんじゃったりするあたりも胸に迫る。そういう細かいとこは見落としていたなあ……。「避けては通れぬ道」あたりは涙腺がやばそうだ。
主役から脇役までキャラの立ち方といったらない。今だから思うのだが河合の登場と退場の対比は本当に凄い。やっぱり総じて役者さんの力が大きいのだろうと思う。山南さんが徐々に運命という名の蜘蛛の巣にからめとられていく様子が恐ろしくて直視できない感じ。阿比留が去るとき背に風車が刺さってるのは捨助の最期となにか関係があるのか、とかんぐってみたり。死の影を意味するのか、はたまた情熱が空回りするさまを表すのだろうか。よく言われているけれど、まさにこのドラマはスルメだ。かめばかむほど旨みがじゅわっと滲み出してくる。