読了本

『回転銀河 3 ISBN:4063405265海野つなみ講談社コミックスKiss、2005)。
2巻では蛇蝎の如く忌み嫌っていた美貌の悪魔、双子の天野兄弟にどんどん親近感が湧いてくるのをどうしようもない。相変わらずムカつくやつらなのに。これは愛? 孤高さは失わせず、キャラもあまり崩さず描いているのがいい。しっかし手芸部は天野・兄の受けとめ先としては絶妙だなあ。ひみつの(地味な)かくれが。天野・弟のほうもいつか描かれるのだろうか。こうして銀河は回転し、物語は繋がっていく。
恭子と守口の話はたしかにもうちょっとじっくり読みたかったと思う、これはこれで胸にギューンときたけれど。まあ急いだだけに今後もひと波乱あるかもしれないね、と楽しみにしておこう。ところで海野さんは古代史が好きなのかな……私もそこらへんの時代が好きなので、機会があったら歴史ものも描いてくれれば嬉しい。編集部が渋い顔なら、担当さんが退職後に作ってくれるという自費出版ベスト本に描き下ろしで!(スイマセンわたくし調子に乗りすぎました)

QED 龍馬暗殺 (講談社ノベルス) gift
QED 龍馬暗殺』高田崇史講談社ノベルス、2004)。
龍馬暗殺については謎が多い。遺留品や証拠が信用できないため実行犯ですら確定されていない。新選組!でこの場面が放送された時もどういう解釈になるのかとても興味深かった。高田説では実行犯とそのバックにいるものに関して大河とほぼ同じ解釈。三谷さんが参考にしたかどうかは知らないが。しかし龍馬の出自が犯人にとっては恨み骨髄で殺害動機になった、というのにはぶっとんだ。高田さんが「風雲児たち」を参考にしたかどうかは知らないが。龍馬の家系をさかのぼると……というのは本当らしい。

『gift』古川日出男集英社、2004)。
短編集。gift、というタイトルの意味は最初わからなかったけれど、当人が欲しがって手に入れたわけではない“拾い物”としての新発見や才能や宝物、と考えればすべての登場人物がギフトをもらっていると言えるだろう。って、誰から? 天、かなあ……偶然もすべて天意だと解釈するならば“拾い物”というより“授かりもの”。もともとの出発点は「かわいい壊れた神」なわけだし。その、神? であるらしい猫の話(さいしょとさいご)が妙にとぼけておかしかった。あと食べ物の描写がとっても美味しそうなのもポイント高し。