読了本
エイラシリーズ旧訳第四部『大陸をかけるエイラ』上巻を読書中に新訳第二部『野生馬の谷』上巻が出たので平行して読んでいる。頭が混乱しないのが不思議なところだ。しかし『大陸をかけるエイラ』は訳がどうも今ひとつよろしくない。読みづらい。さすがに中村妙子は偉大だった。というか、アダルト場面の朝チュン処理には苦労したのだろうなあ。無理して既刊を読まないで新訳が出るのを待つか……公式サイトによれば第四部『平原の旅』は金原瑞人訳で来年6月より刊行予定。
http://www.shueisha.co.jp/home-sha/ayla/index2.html
以上前置き。以下本題。
『小さな人のむかしの話 コロボックル物語別巻』佐藤さとる(講談社、1987)。
人間とはつかず離れずで暮らしていたコロボックルたちの昔ばなしを集めた短編集。本編は現代が舞台でコロボックルたちも人間の科学や文化に夢中だけど、この別巻は鄙びた味わいが楽しい。一寸法師や桃太郎などの耳慣れた昔ばなしがコロボックル風にアレンジされていて思わず笑みが浮かぶ。「虫づくし」がかなり好き。それにしても村上勉さんのイラストはかわいいなあ。黒目がちな瞳とでっかい足がツボ。食玩になったら地味に売れそうなのだが。
『マリア様がみてる 特別でないただの一日』今野緒雪(集英社コバルト文庫、2004)。
文化祭で劇を上演というので思い出すのが氷室冴子の「クララ白書」(「アグネス白書」のほうだったかな?)。それから恩田陸の「六番目の小夜子」とか。マリみて版「とりかえばや」がどんなお芝居になるのか楽しみにしていたので、実際の上演の描写がほとんどなかったのはちょっと残念だ。まあこの物語では姉妹の絆を描くほうに重点が置かれているのだろうから仕方ないけれど。『ざ・ちぇんじ!』でも読みながら脳内補完して物足りなさを補うか……。祐巳は最初の頃からしたらずいぶんキャラが変わった、もとい大人びたね。
『百鬼夜行抄 12』今市子(朝日ソノラマ、2004)。
ここのところ話にまとまりがないように感じていたが、この巻は面白かった。とくに「水辺の暗い道」。律と司って結局どうなんだろう。強い縁て……意味深だなあ。血は水よりも濃いかもしれないけれど。ところで“新ふしさん”いいじゃないの。やっぱ新しい血を求めるべきだよ律も。もうちょっと真理子の押しが強かったらいいのに、そこで引いちゃダメじゃんと外野ながらヤキモキ。