新選組!

第49回「愛しき友よ」。ついに最終回。
……前の晩の「SmaSTATION-4」は思いのほか楽しかった。深夜番組だから許される(のか?)、局の枠を超えた最終回直前スペシャル。NHKテレビ朝日も気前のいいこと夥しい。組!メンバー勢揃いの生放送は録画したのを続けて3回繰り返し観ても飽きないほど中身が濃い。香取くん曰く「ここは何チャンネルなんだ!」。スタッフがちゃんと「新選組!」を分かって作ってるのも嬉しい。番宣ポスターをパネルにいれて部屋に飾っているという照英のニコニコ顔にいちばんウケた。
で、本編。前回「流山」の緊迫感に比べ、あっちでワイワイこっちでガヤガヤと散漫な印象が拭えないのは少々残念だ。出来るだけたくさんの人物に見せ場を作り、伏線を回収しようとしたらこうならざるを得なかったんだろう。もっと一点に集中して観たかったとも思うし、すべてのキャラの後を追いかけたい気持ちもあるし。ジレンマ。ただ最終回が「流山」のように悲壮だったら観ているこっちも相当なダメージをくらったはず。辛く寂しい思いを胸に抱えたまま年の瀬を迎えることになったかもしれない。だからやっぱり今回のあまり湿っぽくならない明るいテンションでよかったのだろうな。
いいシーンはたくさんあったけれど、やはりいちばん心に残るのは勇の最期のひとこと。「トシ……」という呟きは最初、新選組の局長としてどうよ、他の隊士や捨助がないがしろではないか? と思ったのだが。あの瞬間、彼は公人としての近藤勇から若き日を多摩で過ごした“かっちゃん”に戻ったのかなあ、とも思えてきて。新選組のすべてのはじまりが“コルク”なら、かっちゃんの根っこはトシと共に育まれたんだしなあ、と遠くを見たりなんかして。
そういう意味では捨助がほんとに気の毒だ。かっちゃんを助けようとして刑場裏口で果てたことすら死を前にした勇には知らされなかったのではなかろうか。「こんな奴は知らぬ」と偽って追い返した時点で綺麗サッパリ忘れたような気もする。そもそも最初から勇の眼中にない感じだったけれど、最後まで捨助の友情は空回りだ。カザグルマはその暗喩? それともドン=キホーテ? でももしあの世があるなら、先回りしていた捨助に勇は目を丸くするだろう。呼ばれもしないのにやって来るのが捨助ですよとうそぶかれて呆れかえるだろう。それできっと捨助は満足なのだ。いつか勇をぎょふんと言わせてやりたい、それが彼の夢だったのだもの。
左之助と尾形のやりとりもいい。幕末は好きな時代で、勝ち組より負け組が好きな私は必然的に新選組が好きなのだが、このドラマで生き残ったメンツは勝ってないけど負けてない、そんなしぶとい前向きさがある。その最たるものが原田と尾形だろう。会津の容保公と斉藤、永倉や島田もそうだし。でも総司と土方はやっぱり哀しい。お考と総司のカップル、可愛かったのに。トシが兄と静かに別れを惜しむ場面では「ああこんな涙を流せるようになったんだ」と感慨深かった。山南さんが切腹したときのグシャグシャな、いわばガキの泣き顔からしたら「男になったんだなあ」と。北へと向かった土方たちの掲げる旗が次第に薄汚れていくのを涙とともに見送った。旗を守る尾関の必死さが逆に伝わってくるようで……。