魔法使いと火の悪魔

大泉Tジョイで「ハウルの動く城」レイトショーを観る。デジタル上映の回だったので映像がきれい。
ハウルが画面に初めて登場したとき、もんのすんごい“麗しの美青年”だったもんで笑い出しそうになった。なんだあの腰の細さはー。なんだあのさらさらした髪の動きはー。なんだあのナルシストっぷりはー(いや原作どおりではあるんだが)。キムタクの声はけっこうつややかでよかった。知らなければそうとは分からなかったろう。マルクルカルシファーもかわいい。千と千尋では坊とカエルだったんだね。
話はたしかに「戦火のラブロマンス」としか言いようがない。なんで戦争してるのか良くわからないな。全体的に控えめな印象。ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品Jにはつきものの毒も少ない。メタファーをさらに慎重にオブラートにくるんだようなつかめなさ。世情やらいろいろはばかったのかな……。さほどはちゃめちゃな展開でもないし、メッセージ性もとくに感じないし、強烈な印象を残しもしなかった、と少々ものたりなく思ってしまうのは原作既読であらすじを知っているせいかも。
でも悪くはなかった。もうちょっと魅了されたかったというか、心を奪われたかったのだけど、この淡白な感じも捨てがたい。おばあちゃんになったソフィーが椅子に座ってずっと静かな湖面を眺めているシーンがなぜだか妙に好きだ。また観に行きたい。