読了本

野生馬の谷 (上) エイラ 地上の旅人(3) 新訳版エイラ第2部『野生馬の谷 上』が発売された。今は評論社の旧訳版を順調に読み進めているけれど、第4部までしか翻訳されてないんだよなあ。
『狩りをするエイラ 上中下』ジーン・アウル/中村妙子訳(評論社、1987)。<始原への旅だち>第3部。谷を後にしたエイラたちは優秀なマンモス・ハンターであるマムトイ族に出会い、キャンプへと招かれる。あけっぴろげで愛情深いマムトイ族の人々は「原始時代のムツゴロウさん状態」のエイラをも分け隔てなく歓迎するが……。
クロマニヨン人たちが“平頭の畜生”と呼ぶネアンデルタール人に対する差別感情はさらに重要なファクターとして物語に影を落とす。そして互いに惹かれあいながらも文化の違いから起こる誤解と意地の張り合いによって溝を深めるふたりの男女。というか被害妄想つよすぎなジョンダラーに苦笑い。もし彼が弟のソノーランのような単純明快な性格だったら話はここまでこじれなかったろうに。
しかしこれも女神がふたりに与えた試練だったのかもしれない。柔軟なマムトイ族においてすらエイラの存在は大きな摩擦を生んだ。保守的な故郷のゼランドニー族は彼らを受け入れるのか? エイラがあらわし始めたシャーマンの素質も気がかりだ。そして各地で産み落とされている“交じり合った霊の子”は今後の展開にどうかかわってくるのか?