読了本

英国レディになる方法 レディー・ヴィクトリアン 14 (プリンセスコミックス)

『卵のふわふわ 八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし』宇江佐真理講談社、2004)。
この人の書く時代ものの空気が好きだ。各章のタイトルが「秘伝 黄身返し卵/美艶 淡雪豆腐/酔余 水雑炊/涼味 心太/安堵 卵のふわふわ/珍味 ちょろぎ」とすごく美味しそう! しかし食い道楽は小道具で、話の肝は情のかよわない夫を持つ妻の辛さ哀しさなのだった。頭に血がのぼりやすく、あまつさえ暴力に訴えるよーな男を相手にのぶちゃんはどうなってしまうのだろうと心配でたまらず、つい夜更かしして一気読み。……夫婦って難しいけど、いいもんだね。椙田家の人々はまんま「新選組!」の多摩の人々のイメージだった。のぶは田畑智子、忠右衛門は田中邦衛でふでは野際さんで。ただ正一郎はなあ……こいつ、結局のぶちゃんに謝らなかったんかいな。

『英国レディになる方法』 岩田託子・川端有子(河出書房新社、2004)。
イギリス・ヴィクトリア朝の文化についてテーマごとに図説した本。読みやすくてすごくよかった。カラー&モノクロの図版もたくさん入っていて参考になる。当時のコスメからサニタリーグッズ、避妊具まで紹介されているのが驚きだ。フォントルロイ・スーツやケイト・グリーナウェイ・ドレス、テディ・ベア、医療用ヒルなどについてのトリビアも楽しい。 『エマ』や『犬は勘定に入れません』と併せ読むとより面白いことうけあい。ぜひ英国紳士について解説した続編も出して欲しい。

『レディー・ヴィクトリアン 14』もとなおこ(秋田書店、2004)。
ノエルの少年時代が見どころ。生気に満ちて美しく、自由奔放で恋多き女である母を新天地へ送り出し、大人への第1歩を踏み出す姿にホロッと来る。