EARTH’S CHILDREN

ケーブ・ベアの一族 (上) エイラ 地上の旅人(1) ケーブ・ベアの一族 (下) エイラ 地上の旅人(2)
『ケーブ・ベアの一族 上下』ジーン・アウル/大久保寛訳(ホーム社集英社、2004)。
[エイラ 地上の旅人]シリーズ第1・2巻。あの“エイラ”が新訳で登場! すごく嬉しい。『大地の子エイラ』に始まる評論社版[始原への旅だち]シリーズが大好きで、刊行されるたびに追いかけていた。あれでもいちおう児童書ということで端折られた部分もあったらしい。たぶん濃厚な性描写が削られたんだろーな。『大陸をかけるエイラ』あたりは充分すごかったが……。今回は完訳でしかも完結まで訳出されるとのこと。ちなみに原著の完結編はただいま執筆中らしい。
あらすじを知ってはいても初めて読む本のように楽しんだ。はるか先史時代が見てきたように描かれていて引き込まれる。やはり子どもの頃と大人になった今では感じ方もだいぶ違う。エイラが薬師の修行をつむのもツボだし、老クレブには何度も泣かされた。昔は暴力的なブラウドのことを激しく憎んだものだ。今はむしろ哀れに思える。訳者が巻ごとに変わるようだが用語などは統一されるのだろうか。ケーブ・ベアは旧訳だと洞窟熊だったかな? カタカナだと軽みが出るなあ。評論社版は全体的にかたくてとっつきにくい雰囲気だった、まあそこが良かったのだけれど。
比べると新訳版はずっとやわらかな印象。イラストは宇野亜喜良だし。訳者も大久保さんをはじめ白石朗、佐々田雅子、金原瑞人など名のある人を揃えているし。出版社側も売る気まんまんって感じ。しかし続編の出版が待ちきれないったらない。は、早く出してくれ〜。勢いあまって旧訳を再読してしまいそうだ。

(11月18日追記)
すんごいリキの入った公式サイト。
http://www.shueisha.co.jp/home-sha/ayla/index2.html
江國香織さんが語る作品の魅力。
http://seidoku.shueisha.co.jp/ekuni2.html