読了本

コンプリート・ロボット 星空から来た犬 (ハリネズミの本箱)
『コンプリート・ロボット』アイザック・アシモフ小尾芙佐訳(ソニーマガジンズ、2004)。
アシモフのロボットものの短編をまとめた本。実に31編もの話がおさめられている。読み終わってみるともっとあったようにも思えるし、それだけしかなかったのかと驚く気持ちもある。「非ヒト型ロボット」もので始まり、パウエル&ドノヴァンやスーザン・キャルヴィンのシリーズを挟んで「二百周年を迎えた人間」で終わる流れもすばらしい。まるでアンドリュウの残したロボット史の本を読んだような気分になる。「サリーはわが恋人」「ロビイ」みたいな話も好きだけれど、ロボットの行き着くところについてアシモフ自身がオチをつけていった最後の短編には考えさせられた。

『星空から来た犬』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ原島文世訳/佐竹美保絵(早川書房、2004)。
ハリネズミの本棚」の一冊。宇宙の星ぼしには人格があり高度な社会もあったりするらしい。その中のひとりシリウスが罪を犯して地球に追放され、なんと犬に姿を変えられる。元に戻るには事件の原因である謎の道具「ゾイ」を探さなければならないのだが、やっかいな犬のカラダと本能が次から次へとハプニングを生むからさあ大変。犬好きには二度おいしい(そのうえ猫好きならば三度だ)。伝統的なモチーフを駆使した終盤の怒涛の展開がいかにもDWJらしい。キャスリーンが幼くして死の何たるかを知っているのが不憫だった。私もスミスさんが言ったことが真実であるよう願わずにはいられない。