読了本・コミックス

『あの山越えて　５』夢路行（秋田書店A.L.C. Selection、2004）。
主婦であることの苦労、嫁と姑の問題、子育ての愚痴、煩わしい親戚づきあい、田舎暮らしのつきない悩み。……そういうのと縁のない身からすると正直興味がもてない、入り込めないテーマではあるのだけど、夢路さんの描く話は抵抗なく読める。主人公をとりまく人々が自然体だからか、頭が柔らかいからか、思いやり深いからか。それもあるけど、なによりここには「ミセス」でない読者を遠ざけない空気があると思う。「おまけ」がちょっとせつない。

『源平天照絵巻　痣丸　１』玉置一平（メディアファクトリーＭＦコミックス、2004）。
壇ノ浦で平家が滅亡した後、源氏に恨みをもつ二人の男女を運命が引き寄せた。木曾義仲の縁者、巴が表紙で女子高生みたいなルーズソックスをはいているのはご愛嬌。中身は案外まともな伝奇時代劇。斬新な解釈とダイナミックな絵柄がいい。この物語では源氏につらなるもの達はなぜか不死の妖怪らしい。続きが気になる。