読了本

ゆめつげ
『獄門島 金田一耕助ファイル3』横溝正史(角川文庫、1971)。
そういえば去年だったか、上川隆也主演のドラマを観た覚えがある。上川金田一はとぼけた感じが良いと思った。早苗役の高島礼子も印象的だった。鵜飼君がキモかったのも忘れがたいが、原作ではああじゃなかったのだな。ストーリーは原作のほうが完成度が高くて面白い。ドラマは放送禁止用語に縛られるせいかも。発句屏風の見立てなども先にネタを知ってなければもっと驚けて楽しかっただろう。映像で観るより文章で読むほうが真に迫っているシーンもあるからドラマだけで済ますのはやはり勿体ない。いちおしは「気味悪いほどギタギタと紅潮」のくだり。凄い迫力。

『ゆめつげ』畠中恵角川書店、2004)。
神社が舞台で主役は神官(禰宜)。「しゃばけ」の若旦那シリーズと印象はあまり変わらないかな、主人公の口調も同じだしと思っていたら途中からいきなりスケールがでかくなって、こちらが焦ってしまうほどに話が化けた。人情ミステリから伝奇SFへの月面宙返り。そのなかで弓月だけは相変わらずひょうひょうとしているのだった。アンタもすこしは焦らんかいとつっこみたくなった。